平成20年度 秋の行事企画

浅草で落語を楽しむ
写真撮影者
 岡本 興和氏
 寺村 紀美夫
       
    紀行文その1【浅草で落語を楽しんだ!!】


                                  寄稿者:大島キヨ子

神奈川同窓会・秋の行事企画に参加した。実を言うと、私はイベント参加型の卒業生。

今回の企画も送られて来た波濤を見て内容が気に入った。「江戸東京博物館特
別展・ボストン美術館浮世絵名品展と浅草演芸ホールで落語を楽しむ」とあっ
たからだった。マーカーをして切り抜き持ち歩いていた。しかし旅行から帰る
と締め切りが過ぎていた。急いで高橋さんにメールをすると快い返事があり安
堵した。
10月25日9時30分、集合場所へは相当早めに着いたので、成田行きを待
つイギリス人とちょっと英会話。退屈しないですんだ。

私の担当は落語以降について書くことなので、まずは浅草演芸ホール昼の部1
2時から始めます。
入場前に入り口で写真を一枚。看板には「昼の部主任・生」とあり、桂歌丸の
写真が出ていた。
狭い入り口、細い階段を上って3階最上部の立見席へ急いだ。段差に腰を下ろ
して座席の人の肩越しに前座の舞台を見ながら、手持ちのお弁当タイム。ロー
プで確保されていた席が団体客で埋まると、通路の段差が埋まり、壁に人が張
り付いた。

1時間後、演者の顔が判る程度の席に高橋さんが案内してくれた。すでに2名
の女性仲間がいたので1時から終演の4時半まで楽しくメモを取ることができ
た。笑いを楽しむ余裕も持てた。もしも立ち通しだったら、腰痛で笑うどころ
ではなかっただろう。
なんとこの演芸ホールは入れ替えをしない。2500円で11時40分から9
時まで飲食持参で楽しめるのだ。正味5時間、この道の愛好者にはさぞ魅力の
場であろう。

●着席後は桂幸丸の舞台から始まった。麻生総理をまな板の鯉にして扱き下ろ
したのは痛快だった。タイムリーでこ気味よかった。


●Wモアモアは男二人で、ゆとりのない世情を加瀬大周の大麻事件などで憂い、
姥捨て山へ置いてきたはずの親が「ただいま〜」と帰宅する便利な世の中でも
あると笑わせた。

●春雨や雷蔵は相撲協会の無気力相撲を話題にしていたが、国技館の前は閑散
としていた。

●雷門助六は歌丸師匠と同じ横浜出身で顔立ちや外見が似ていることをポーズ
を作って強調した。「師匠は骨たい美で、出しが出ない。私は肉体美」と吹聴。
どちらも痩せ型だった。

●やなぎ南玉は「寿司くいねえ、酒飲みねえ」で、相撲見物中の客が巻き起こ
す珍問答が面白かった。時間調整と称して披露した、操り人形の踊り「かっぽ
れ」は見事だった。

●三遊亭遊三は老夫婦が裸で食事をする様をユーモラスに演じて笑いを呼んだ。

ここまでが前半で中入りになる。TV番組の「笑点」を時たま見る程度で、お
笑いには縁遠かった私ですが、いつの間にか結構笑っている自分に気づいてび
っくりした。
中入り後は両側の壁に持たれての立ち見客が増えだす。中座する人を目ざとく
見つけて座席を確保する立ち見客達。さながら満員電車にも似て興味深かった。
(影響を受けたのかな)

●桂歌若は黒羽織に黒縁のめがねで40歳、青森県出身と自己紹介し、津軽弁
講座を目玉にしていた。君は「りんごと言われたら、青森」、「みかんと言わ
れれば未完の大器すなわち自宅待機」、「バナナと言われたら会社を叩き売る
」、「洋梨は用無し」と駄洒落の連発。「上京に際して親から「人生の落伍者
になるな、笑われるな」と諭されたが、「今では落語者、笑われるのが仕事」
と結んだ。

●東京太ゆめ子は夫婦漫談を続けて40年とか。時世の流れを熟年離婚に絡め
て、「進化する女房、退化する夫」を演じ、いわゆるボケと突っこみで笑いを
取った。

●三笑亭可楽は相撲での行司の呼び込みに焦点を当て、日本語と英語で実演し
てその違いを笑わせた。呼び込みの声は年輪が感じられる美声だった。

●檜山うめ吉は芸子姿で登場、紫の着物が似合う美人だった。三味線を弾きな
がら佐渡おけさや都都逸を歌った。舞も披露した。

●いよいよ真打登場となり場内は満員。TV”笑点”レギュラー・歌丸の出番。
彼の持ち時間は4時10分から4時30分まで。
出し物は「餅」で、女房の尻を餅に見立てて、捏取(コネドリ)役の亭主が手
水を打ったり、捏ねたり、返したり。その度に女房から悲鳴が出る。一人二役
を絶妙の間合いで演じ、時間ぴったりに終演となった。

このように書いてみると入場前に担当をあてがわれたことで真剣に見ていたこ
とが分かる。
一度本物の寄席を劇場で見たかった。ただそれだけの理由だったが、笑って得
した気分です。

さてお次は懇親会。演芸ホールを出て、16人は浅草寺観音をお参りして、雷
門の近くにある中華レストランへ移動する。オウナー・尹秀蘭さんが放送大学
生ということで店は貸切になっていた。
私のテーブルの人は全員がビールで乾杯後は老酒を楽しんだ。私も香りも良く
人肌に温められた老酒を小さなグラスで、おいしい中国料理と共に味わった。

少し酔い気味で店を出て、120年の風格をかもし出す交差点向こうのKAM
IYA BARへ希望者が寄ることになった。一階は満員のため、デンキブラ
ンというブランデーをタキシード姿の老紳士から土産に買ってから、急遽二階
の和室でデンキブランを賞味することになった。ブランデーにジン、ワイン、
キュラソー、薬草などがブレンドされているデンキブランは琥珀色でほんのり
甘みもあって魅力的だった。だがアルコール30度は唇に触れただけだった。

横浜へ着くと集合から約12時間が経過していた。午前、午後、夜と変化に富
んだ一日だった。今回の企画は始めてづくしで面白かった。楽しかった。参加
してよかったと思います。





      紀行文その2【浅草散策同行記】

                                    投稿者:諏訪間 晋
                

 前日の雨も上がり、十月二十五日は好天に恵まれ、会員十六名がJR両国に降
り立った。
 江戸東京博物館のボストン美術館所蔵の浮世絵特別展はたくさんの浮世絵ファ
ンでにぎわっていた。
 広い展示場には百五十点以上が展示されていて各々に説明文がつけられてい
る。おなじみの歌麿、北斎、広重の肉筆や版本が浮世絵ファンを魅了する。時
間の関係もあり、心残りながら後半は省略した。
 次は浅草に向かった。浅草寺では本堂落慶五十周年記念の本尊ご開帳で大勢
の善男善女でにぎわうなか、浅草演芸ホールでの落語観賞。
 前座で若手の落語や漫才のあと、トリはお馴染みの桂歌丸師匠の登場、満席
のお客を笑いの渦に巻き込む。
 大満足で仲見世を抜け、浅草寺を参詣して、本日の懇親会の会場「香港亭」
に向かう。この店は放送大学のサークル、放友会のアイドル尹秀蘭女史が社長
を勤める本格中華料理の店で、女子自ら心のこもったおもてなしで紹興酒に酔
い痴れてしまった。
 香港亭を出て、打ち上げとばかりに勢いに乗って、有名な「神谷バー」に繰
り込み、デンキブランを堪能して行程は終了となった。

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